LINE を中心に拡がる “アプリ”を意識しない世界

最近の若い人は パソコンを使わないし、Webブラウザはキケンで怖いモノというイメージがあるそうです。ホームページを見るにはスマホでキーワード検索するし、QRコードや Twitter を活用して URLというものを意識することがない そうです。11/20(水)と21(木) の 2日間、LINEのエンジニア向け技術カンファレンス「LINE DEVELOPER DAY 2019」が開催され、ちょこっと参加してきましたので印象に残った内容をご紹介します。

LINE DEV DAY 2019LINE DEV DAY 2019

LINE DEV DAY 2019

まずは受付の顔認証システムについて。

Amazon Rekognition を使ったサンプルが GitHub にありますし、この程度のシステムは今どき誰でも作れる/試せるのではなかろうかと思ったのですが、今回の LINE のシステムは完全自社開発だそうです。

スライドによると、認識に要する時間は 0.1秒で 認識率は 99%ということですが、実際に並んだ感想としても、認識結果が表示される iPad ? の前に立った瞬間には結果が表示されていました。

てっきり顔検出から 事前登録者との突き合わせまでエッジデバイス側で行っているのかと思いましたが、 このスライド によるとエッジ側で行うのは顔検出・特徴抽出までで突き合わせはサーバーサイドで行っているようです。そこに “受付システムがある” ということをほとんど意識させない体験でした。

次は LINE の Developer Advocate からスピンアウトして ボット開発の会社を立ち上げた 中嶋さんの「【実演】 日本の自治体が提供するLINEを活用した便利なサービスを体験し、その作り方を学ぼう」について。

昨年の DEV DAY で発表された 福岡市の粗大ごみ収集受付Bot の進化版と言える内容で、千葉県市川市の「住民票オンライン申請」の事例でした。

リッチメニューから「オンライン申請」を選び、フレックスメッセージクイックリプライボタンで回答していきます。

LIFF で作られた画面を開いて記載事項を選び、カメラを起動して本人確認書類をアップロードさせ、LINE Pay で支払いまで完了できます。

中嶋さんは Salesforce出身ということで、バックエンドの管理画面は Salesforceを利用して作られていましたが、kintone を使用して作ることも可能だと思います。わざわざマイナンバーカードを持ってコンビニ端末で操作する必要なく、また、ホームページを開いて申請せずとも、LINEに話しかけるだけで手続きが進んでいく様は、”アプリ” の存在を意識させない体験だと言えるかもしれません。

今回最も期待していた LIFF v2 について。

LIFFは Messaging API (いわゆる LINE の Bot を作る機能)の拡張として登場しましたが、今回、LINE内だけでなく PCでも動作するようになり、LINEログイン関連の機能として再実装されたそうです。

福岡マラソンの事例LIFFで作った APIの動作確認画面が紹介され、LINEの世界を PCにも広げていく期待を感じました。

ただ、LIFF に頼り過ぎると LINE上の体験の質は落ちてしまうのかなと感じました。繰り返しになりますが、リッチメニューフレックスメッセージを使えば、必ずしも“会話”ベースでないアプリも作ることができます。LIFF を使うと、どうしても LINEトークルームと LIFF の間を行き来するか、LIFF側に行きっ放しになってしまうので、LINEの良さが失われてしまう面があるのでないかと思いました。

その他、LINEで培ってきた AI技術を外部にも提供していく LINE BRAIN など興味深いコンテンツはあったのですが、個人的には新しいハードウェアの展開がなかったのが残念でした。Apple の AirPods など、各社から VUI 対応イヤホンが続々と発売されていく中で LINEと親和性の高いウェアラブルも必要になってくると思います。ヤフーとの統合で今後どうなっていくのか注目していきたいと思います。

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うっちー
kintone認定カイゼンマネジメントエキスパート(KME), アプリデザイン/カスタマイズ スペシャリスト